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英語ひとくちメモ/場面
English Words 英語ひとくちメモ
2023年11月10日

Wedding registry(結婚祝いの登録)

<英語ひとくちメモ その166>

こちらの「英語ひとくちメモ」のコーナーでは、日常生活で役に立ちそうな英語の表現をご紹介しております。


もちろん、新しい表現を学ぶことは、英語の上達には不可欠なことです。が、そういった英語の言葉や表現が生まれた背景にある「文化」を知ることも大事なことではないかと思っているのです。


たとえば、表題の Wedding registry (ウェディング レジストゥリー)。


Wedding は「結婚」だし、registry は「登録」。


ですから、Wedding registry とは、なにかしら結婚届に関することかしら? と思いがちです。


実は、この「結婚の登録」とは、役所には関係はなく、結婚祝いに関することなんです。


結婚する二人が、新生活で何か必要なものがあれば、遠慮なく「これが欲しい!」と登録しておいて、結婚式や披露宴に参加する人、またはお祝いをしたい人が、その中から気に入ったものを買って差し上げる、という制度のことです。


たとえば、コーヒーメーカーが欲しいとか、コードレスの掃除機が欲しいとか、新生活で必要なものはたくさんありますよね。けれども、自分が欲しくないものをお祝いでいただくと、それこそ無駄になってしまいます。


ですから、アメリカでは、合理的な Wedding registry という慣習がポピュラーになっています。


もともとは、街角の個人経営のお店が、お嫁さんになる人(bride-to-be)のために、新生活で使う食器や銀製品などをまとめてコーナーで紹介していたのでしょう。


そのうちに、ウェディング需要を見越したデパートや大型店舗が、「だったら、二人が希望するものをうちで登録してもらって、そのリストの中からうちで購入してもらえるような仕組みにしよう」と、Wedding registry のシステムを始めたようです。


一説によると、シカゴの有名デパート Marshall Field’s(現 Macy’s)が1924年に始めたのが、記録に残る最初の例だったとか。


一社が成功すると、他社もいっせいに真似をして、またたく間に「結婚祝いの登録制度」は全米に広まったことでしょう。


わたし自身、結婚する二人に何がいいかなと迷っていると、「Macy’sに彼らの登録があるから、お店に聞いてみたらいいわ」とアドバイスされたことがありました。


二人がどんなものを希望していて、重複しないように他の人がどれを購入しているかを教えてくれるのだ、と。


へ〜、アメリカにはそんな合理的なものがあるんだぁと感心しつつも、結局は、彼らが登録した「欲しいものリスト」は無視して、日本らしい品を差し上げたと記憶しております。


そうなんです、結婚する二人が「これが欲しい」と指定していても、そのリストから選ぶ義務はありません。「わたしは、大好きなイラストレーターの作品を壁に飾って欲しいのよ」と思ったら、お気に入りの額をプレゼントすればいいのです。


けれども、多くの人は、「本人たちがわざわざ指定してるんだったら、その中から選んだ方が無難だよね」と、登録リストから選ぶようではあります。

(写真は、サンフランシスコのキッチン用品のお店に貼ってあった「Gift Registry」のポスター。Gift Registryとは、Wedding Registryと同じように希望する品を登録しておくシステムです。今は、男性でもお料理が得意な人も多い時代。男性同士のカップルだって、キッチン用品店で登録される方も少なくないことでしょう!)



そして、今は、なんでもネットで済む時代。


Wedding registry はオンライン化されていて、お買い物もクリックすれば簡単に済みます。


もちろん、デパートや量販店もそういったウェブサイトを持っているのでしょうが、「The Knot」とか「Zola」とか、有名な「結婚祝い登録サイト」はたくさんあります。


新生活を始める二人は、サイト上で「これとこれが欲しい」と指定しておいて、贈る側が「これにしよう」と決めれば、ご希望の場所へと送付してくれるのです。


Get exactly what you want

あなたがほんとに欲しいものを手に入れましょう


Pick your gifts and pin your faves to make gift shopping a breeze for your guests

あなた自身のギフトを選び、大好きなものに目印を付けることで、ゲストの方々のギフトショッピングを簡単なものにしてあげましょう


とは、お祝い登録サイト「The Knot」のプロモーションです。


(二番目の文章で、faves というのは、「大好きなもの」という名詞 fave の複数形です。Make 〜 a breeze という文型は、「〜を簡単なものにする」という意味になります。普通 breeze は「そよ風」ですが、この場合は「簡単に行えるもの」という意味で使われています)


以前は、結婚披露宴(Wedding reception)の会場に行くと、入り口に山のようにゲストの方々のお祝いの品が積まれておりました。が、きっと今は、披露宴会場にお祝いの品を持って行くこともなく、二人が希望する品が家に届くんでしょうねぇ。



それで、どうしてこのお話をしようと思ったかというと、仲の良い友だちの娘さんが結婚されたから。


まさに今どきのカップルで、良き日に役所に婚姻届を提出しただけ。二人のご両親とともに、結婚後に六人でお食事会をしたとのことでしたが、結婚式や披露宴のプランはありません。


けれども、こちらとしては、赤ちゃんのころから知っているコなので、お祝いをしてあげたくて、Lineでつながる友人に「何か欲しいものがあるか、本人に聞いてみて」と頼んだのでした。


すると、後日、友人からは「だいたい予算はいくら?」と質問があったのでした。


それを見たわたしは、びっくり。本人がどんなものが欲しいかを聞かなきゃ、予算なんてわからないでしょう! と思ったのでした。


そこで、直接本人に欲しいものを聞くことになったのですが、意外にも「ヘアドライヤー」と、ざっくばらんな答えが返ってきました。


なるほど、まわりくどい表現をされるよりも、モノを指定される方が良いですが、昨今、ヘアドライヤーといっても千差万別。そこで、自分が東京のホテルで使ってみて気に入った製品を贈り、ついでに、我が家にも同じ機種を買ってみたのでした。


後日、「髪がサラサラになる!」と気に入っていただいたことがわかり、こちらとしてもホッとしたところです。


が、いずれにしても、真っ先に「予算はいくら?」と聞いてきた友人の質問が不思議に感じた体験なのでした。


「何(What)」とか「どんなもの(What kind)」の方が、「いくら(How much)」よりも大事な気がするんですが・・・。


そう、英語文化(とくにアメリカ文化)では、単刀直入に質問した方がいい場合もあります。


もちろん、「あなたいくつ(How old are you)?」など、社会的に不適切な質問も多々ありますが、合理的に容易に片づけられるものは、ストレートに相手に聞いてみましょう。


新しい門出を祝って、二人にお贈りするなら、なおさら二人が欲しいと思っているものがいいですよね。


Bon voyage(ボン・ヴォヤージュ)!



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