イースターバニーちゃん!
以前も何回かお話しいたしましたが、イースター(Easter)とは、復活祭。
バニー(Bunny)とは、うさぎさんのことですね。
そう、イースターバニーは、復活祭の主役ともいえる、うさぎさんなのです。
復活祭は、金曜日(Good Friday)に十字架にかけられたイエス・キリストが、3日目の日曜日(Easter Sunday)に復活したことを祝うキリスト教の祭日ですが、「復活」「生命」「豊穣」といったありがたいものを祝うのに抜擢されたのが、うさぎさん。
なぜなら、うさぎさんは、子だくさんで生命力を感じさせる生き物。春には、たくさん子供も生まれますし、新しい生命の芽吹く春の復活祭には、うってつけの動物なのです。(上の写真は、Hallmarkの復活祭用グリーティングカード)
そんなわけで、復活祭のうさぎさん「イースターバニー」は、子供たちの人気者。
先頭に立って、「イースターパレード(Easter Parade)」を率います。
こちらの写真は、サンフランシスコのちょっと南、サンマテオ市で開かれたイースターパレードの様子。着ぐるみのバニーくんが、満面の笑みで(?)みんなに手を振っています。(Photograph taken by John Green, posted in the San Jose Mercury News on Sunday, April 8th, 2012)
それから、イースターバニーくんが隠したとされる卵(Easter eggs)やお菓子を見つける「エッグハント(Egg Hunt)」も、復活祭恒例の行事となっています。
復活祭の前日の土曜日や当日の日曜日には、あちらこちらの街で、公園の芝生を開放して、子供向けのエッグハントが開かれます。
会場には、朝から子供たちが集まって、「ヨーイ、ドン!」で、芝生に隠された卵やお菓子を拾い集めるのです。(Photograph of Egg Hunt in Central Park, San Mateo by John Green/Mercury News)
昔は、色とりどりに飾り付けをしたゆで卵が使われましたが、今では、お菓子の入ったプラスティックの卵や、ラップに包まれた卵型のお菓子が使われることが多いようです。
どうして卵なのかって、伝統的に、卵は「生命力」のシンボル。そして「かたゆで卵(hard-boiled eggs)」が使われるのは、生卵だったらグシャッと割れてしまうから。
そんな卵を集めるエッグハント。もちろん、子供たちにとっては、たくさん拾い集めた方が嬉しいという、あくまでもゲーム感覚を楽しむ行事なのです。名前だって、卵の「ハント(狩り)」ですからね。
エッグハントの行事は、我が家の近くでも開かれました。
復活祭の前日の土曜日、ゴルフ場のパター練習場が、子供たちのエッグハントの舞台となりました。
いつもは真剣なまなざしのゴルファーでいっぱいのパター練習場は、この日ばかりは、真剣なまなざしの子供たちでいっぱい。少しでもたくさんの「獲物」をしとめようと、スタートの合図を待つのです。
そんな春うららの暖かい朝、ふとカーテンを開けると、我が家の裏庭には、見慣れない小動物が来ていました。
う~ん、なんとなく、うさぎさんの顔つきですが、それにしては、顔が大きい!
胴体よりも、顔の方が大きく見えるのです。
そして、全体に丸っこい。なんとなく、お手玉を思い浮かべるような丸っこさです。
だって、我が家には、ちょうどこんな形の猫のお手玉がありますよ。
うさぎさんって、通常すらりとした体つきなんですよね。そう、いかにも「速さ」を連想させるような、しまった体つき。
いつか、我が家の中庭をチョロチョロしていたうさぎさんは、こんなにスレンダーでした。
体はほっそりしているし、耳だって、危険を察知できるように、ピッと立っています。
それなのに、この朝の小動物は、なんだか「暢気」な感じがします。
眠たそうにボ~ッとしているし、わたしがカーテンを開けても、ハ~?といった面持ちでこちらに目を向けただけだし・・・
そのうちに、モゾモゾと動いて、外壁の隅っこにうずくまってしまいました。
そこで、外に出て写真を撮ってみたのですが、わたしが近づいても、逃げようともしないのです。
相変わらず、ボ~ッとして「夢うつつ」の状態なのです。
春だから眠いのでしょうか? それとも、小さいなりに、なにかしら疲れていたのでしょうか?
あとで連れ合いに聞いてみたのですが、やっぱり、この朝の小動物は、うさぎの子供だったようです。
なんでも、オトナになっていないうさぎは、全体に丸っこいイメージだそうです。そんな丸いのが、ゴルフ場にズラッと並んで、人間さんがティーオフするのを面白そうに眺めているそうです。
きっと、この日は、パター練習場でエッグハントが開かれていたので、子供たちに捕まらないようにと、我が家の裏庭に逃げて来たのでしょう。
以前、「うさぎさんはいずこ?」というお話にも出てきましたが、どうも、復活祭の前後には、うさぎさんはゴルフ場から姿を消す傾向にあるようなのです。
そう、復活祭の頃、イースターバニーちゃんは、あたりの家々に逃げ込むみたい。
そういえば、その翌日も、中庭の八重桜を眺めていたら、背後でゴソゴソと物音がしました。
トカゲにしてはずいぶんと大きな物音だなと思っていると、生け垣からうさぎが飛び出して、まさに「脱兎のように」駆け抜けて行ったのでした。
こちらは、前日のうさぎよりは大きかったのですが、やはり、春は「生命の季節」。うさぎさんも、次から次へと生まれているようですね。
(ちょっと見にくいですが、写真中央、木の隣に小さく写っているのが、逃げ出したうさぎさん)
ところで、復活祭のイースターバニーくんが指揮をとるのは、エッグハントだけではありません。
もうひとつ「エッグロール(Egg Roll)」という行事があって、こちらは、大統領の住むホワイトハウスでも開かれるのです。
なんでも、1878年、ルーサーフォード・ヘイズ大統領がエッグロールを始めたのが脈々と受け継がれ、今ではホワイトハウスの伝統となっているそうです。
(ヘイズ大統領は、南北戦争後に大統領となったユリシーズ・グラント大統領の次期、第19代大統領で、自身も北軍の少将として戦い、負傷した経歴を持つ方です。)
今年も、オバマ大統領のいるホワイトハウスでは、たくさんの子供たちと親が招かれ、恒例のエッグロールが開かれました。
そう、ホワイトハウスには、「サウスローン(South Lawn)」と呼ばれる、広大な芝生のお庭があるでしょう。そこで、エッグロールが開かれるのです。
ファーストレディーのミシェルさんや、娘さんのマリアさん、サーシャさんも見守る中、オバマ大統領がピーッと笛を吹いて、エッグロールが始まります。
いえ、なんのことはない、大きなスプーンでゆで卵をころがして、先にゴールラインに達した子の勝ち! というゲームです。
そう、コロコロと卵をころがすから、エッグロール。(Photograph by Chip Somodevilla/Getty Images)
でも、やっぱりエッグハントと似ていて、子供たちにとっては、「勝ちたい!」と競争心をあおるお遊びなのです。
オバマ大統領も子供たちと一緒になって、コロコロと卵をころがしていらっしゃいましたが、この日は、エッグロールだけではなくて、かけっこをしたり、ミシェルさんの絵本の朗読に耳を傾けたり、工作をしたりと、子供たちも気持ちのいい芝生で、楽しい一日を過ごしたようでした。
なんでも、復活祭に向けては、全米で20億ドル(約1千6百億円)ものお菓子が売られるそうですが、きっと、ホワイトハウスでは、チョコレートやマシュマロのお菓子よりも、果物やフルーツジュースの自然食が中心だったのではないでしょうか。
だって、ミシェルさんは、アメリカに蔓延する子供の肥満(childhood obesity)を改善しようと、食生活の見直しに努めている方ですからね。
砂糖がつまったお菓子やソーダよりも、野菜や果物を食べましょう! そして、たくさん運動をしましょう!
そんなメッセージは、ホワイトハウスの復活祭を訪れた子供たちにも、やんわりと伝えられたことでしょう。