English words
英語ひとくちメモ/場面
English Words 英語ひとくちメモ
2014年08月30日

You are welcome to do so(どうぞそうなさって)

You are welcome

このフレーズは、よく耳にしますよね。

Thank you(ありがとう)というお礼の言葉に対して「どういたしまして」と返礼するもの。

猫ちゃんなら「なんてことないにゃ!」と返すところでしょうか。

もともと welcome という形容詞は、「(人が)歓迎される」とか「(物事が)喜ばしい」という意味です。

ですから、「あなたは歓迎されている」が転じて「どういたしまして」に使われるようになったわけです。

個人的な想像ですが、あなたは(わたしにとっては)大事な歓迎すべき人なので、いろいろとやってあげたいのです(だから、お礼なんていいんですよ)といった含みがあるのではないでしょうか。


You are welcome は、文字通り「歓迎されている」という意味で使われることもあります。

You are welcome here
 あなたはここでは歓迎されている(だから、いつでもいらしてください)

「ここ」というのは、自分の家でもいいし、学校やオフィスでもいいし、スポーツチームの練習フィールドでもいいし、お弟子さんが集う茶室でもいいのです。

どんな場所であっても、「あなたは歓迎されているのだから、遠慮しないで立ち寄ってくださいね」といった意味で使われます。

(写真は、東京湾に面した浜離宮庭園の『中島の御茶屋』)

お客さんが来たら、ドアを開けながら、こう歓迎することもあります。

Welcome (to my house)!
 (拙宅に)ようこそいらっしゃいました!

ざっくばらんに「やあ、やあ、よく来たねぇ」と、お客さんを迎え入れる感じですね。

久しぶりに誰かが帰ってきたときには、「おかえり」と迎えてあげます。

Welcome home!
 おかえりなさい!

たとえば、東海岸の大学に通う息子が夏休みで帰ってきたとか、ヨーロッパでバケーションを取っていたお隣さんが帰ってきたときには、「おかえり」と迎え入れます。

この場合の home は、文字通り「我が家」でもあり、自分たちが住む「この街」でもあるのです。

逆に、こんな厳しい使い方をするときもあります。

You are not welcome here
 あなたはここでは歓迎されない(だから、さっさと立ち去ってちょうだい)

まあ、ドラマでもない限り、あんまり耳にしない表現でしょうか。


一方、「喜ばしい」という意味の welcome は、このように使うこともできます。

It is a welcome sign
 それは、喜ばしい兆しです

たとえば、いつまでも猛暑が続くと思っていたら、都会のビルの片隅にコスモスが花を咲かせていた。

それを見て、もうすぐ秋風が吹く季節なのねぇとホッとする。

Oh, this is truly a welcome sign
 まあ、ほんとに喜ばしい兆しだわぁ

そういった「喜ばしい」前ぶれです。


You are welcome には、動詞をくっつけることもできます。

You are welcome to stay overnight
(わたしの家に)一泊していってもいいんですよ

You are welcome to ~ というのは、「~をしてもいいんですよ」「どうぞ~なさってください」という慣用句になります。

今日の表題も、この形ですね。

You are welcome to do so
 どうぞ、そのようになさってください

それまでの会話で話題になっていたこと、たとえば、相手が「あなたの家を訪問したい」とか「来週は休暇を取って旅行に出たい」と言っていたことを、「どうぞそうしてください」と奨励しているわけです。

You(あなた)の代わりに、別の主語を持ってくることもできます。

Everyone in the community is welcome to attend this meeting tonight
 コミュニティーの全員が、今夜のこの会合に出席できます

コミュニティーの全員というのは「近隣住民」という意味で、アメリカではだいたい家主協会(homeowners association)がくくりとなっているでしょうか。日本では、町内会みたいなものですね。

これを平たく言うと、こんな感じ。

Everybody is welcome!
 誰でも大歓迎です!


それで、You are welcome をもっと丁寧にすると、

You are more than welcome となります。

使い方は You are welcome と同じですが、形容詞 welcomemore than がくっついて、「歓迎を越えている、もっともっと歓迎する」というような強い意味になります。

You are more than welcome
 いえ、いえ、どういたしまして(何でもありませんよ)

You are more than welcome to do so
 どうぞ遠慮なさらずに、そうなさってください

実は、そもそも You are welcome のお話を書こうと思い立ったのは、先日、このフレーズを使った人がいたからでした。

オンラインショッピングのアマゾン(Amazon.com)で帽子をふたつ注文していたのですが、ひとつは期日通りに届けられたのに、もうひとつはなかなか届かない。
 こちらは、別の配送会社に2回電話して初めて我が家に届けられたのでした。

この2回目の電話のときに、わたしがこう言ったのです。

Maybe I have to report this incident to Amazon
 もしかしたら、この問題をアマゾンに報告した方がいいのかもしれませんね

すると、配送会社のカスタマーサービスの女性が、悪びれもせずにこう返したのでした。

Oh, you are more than welcome to do so
 どうぞ、どうぞ、そうなさってください

日本の常識から考えると、なんとなく、おかしな気もするでしょう? だって、顧客対応の担当者が、自分の会社の「告げ口」を親会社にしてくださいと奨励しているようなものだから。

けれども、アメリカでは、よくあることなんです。だって、物品が届かなかったのは、自分が働く本社機構のせいではなくて、実際に配送を担当する地元のフィールドオフィスのせいですから、フィールドの問題は、どんどん報告してやってくださいと奨励しているわけです。

まあ、その方が、サービス全体の向上にもつながりますし、この担当者にとっては、苦情処理の数が減って嬉しい、ということにもなりますよね。


そんなわけで、You are welcome to do so(そうなさってください)

もしくは、You are more than welcome to do so(どうぞ、そうなさってください)

「そうしてよ」という意味では、ごく簡単に Go ahead という表現もあります。

Go ahead と言えば、Go ahead, make my day という有名な映画のセリフをご紹介したことがありますが、こちらは「やってみろ」みたいな、くだけた表現ではあります。

You are welcome to do so の方が、断然プロフェッショナルに聞こえる表現ですね。

追記: 蛇足ではありますが、顧客担当者のお言葉に甘えて、アマゾンにはメールで問題を報告させていただきました。すると、電光石火で返答がありました。
 「こちらではなかなか配達の状況を把握できませんが、ご迷惑をおかけしたお詫びに、『アマゾンプライム』のメンバーシップを一ヶ月延長させていただきます。物品については、あと2日ほど待って届かなかったら、さらなるアクションを取らせていただきます(アマゾンプライムは、無料配送や映画・音楽のオンライン無料配信サービスで、年会費を払って加入するもの)

アメリカに住んでいると、さまざまな問題が起きますので、カスタマーサービスに電話することも頻繁にあります。それで交渉の話術も鍛えられるというものですが、このときに注意したいのが、声を荒げて頭ごなしに文句を言わないこと。

日本では、客と苦情処理係は、なんとなく主従関係にありますが、アメリカでは、ほぼ対等の関係です。ですから、「わたしちょっと困ってるのよ。助けてちょうだい」と持ちかける方が、相手の受けもいいですし、スムーズに事を処理してくれることが多いです。だって、相手も感情を持った人ですからね。

あくまでも相手を味方につける。それが、アメリカの苦情電話のコツでしょうか。

(招き猫は、ナパバレー・ヨーントヴィルのスーパーで見かけたもの。「商売繁盛」は、どこの国の人も大歓迎なのです!)


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